子宮卵管造影検査(HSG)とは?卵管の異常を調べる不妊検査

卵管の異常は、女性不妊の主な原因の一つです。 主なものには、卵管閉塞、卵管癒着、卵管水腫などがあり、女性不妊症の約20~25%を占めています。つまり、不妊に悩む女性のおよそ4人に1人は、卵管の状態が関係しているとされています。 そのため、女性の妊孕性を評価する際には、まず卵管に異常がないかを確認することが重要です。

2026-07-08 00:00:00

著者 コウノトリ生殖医療センター

子宮卵管造影検査(HSG)とは?卵管の異常を調べる不妊検査

卵管の異常は、女性不妊の主な原因の一つです。
主なものには、卵管閉塞、卵管癒着、卵管水腫などがあり、女性不妊症の約20~25%を占めています。つまり、不妊に悩む女性のおよそ4人に1人は、卵管の状態が関係しているとされています。
そのため、女性の妊孕性を評価する際には、まず卵管に異常がないかを確認することが重要です。
健康な卵管には、「通過性が保たれていること」「癒着がないこと」「卵管上皮の線毛細胞が正常であること」の3つの条件が必要です。

卵管の通過性を確認する方法には、以下の5つがあります。

検査方法 通気法 通水法 卵管造影 子宮鏡 腹腔鏡
精度 約50% 約60% 約80-90% 約80-90% ほぼ100%

子宮卵管造影検査の目的

子宮と卵管に異常がないかを評価します:

  1. 双子宮、双角子宮、中隔子宮、子宮欠損など
  2. 子宮内のポリープ、子宮内の癒着、卵管閉塞、卵管水腫など

検査の時期と流れ

検査の時期

月経周期7〜11日目

流れ

内診と同じように検査台に仰向けに寝ていただき、子宮内に造影剤をゆっくり注入します。その後、X線撮影を1回または数回行い、検査は約5~10分で終了します。卵管の通過性が保たれている場合、造影剤は子宮から卵管を通って腹腔内へ流れます。X線画像では、子宮や卵管の形状や造影剤の流れを確認することができ、異常の有無を評価します。詳しくは下図をご参照ください。

メリットと注意点

メリット

  1. 妊孕性を評価するための第一選択となる検査であり、簡便かつ精度の高い検査です。麻酔や手術は必要ありません。
  2. X線撮影が1~2枚程度であれば、被ばく線量は一般的に安全な範囲内です。万が一、検査を受けた周期に妊娠していた場合でも、過度に心配する必要はありません。

ご注意ください

子宮卵管造影検査は安全性の高い検査ですが、侵襲的な検査であるため、感染や造影剤に対するアレルギー反応などのリスクがわずかながらあります。検査後は、少量の出血や下腹部痛、腰のだるさなどの症状がみられることがありますが、多くは検査後によく見られる症状のため、過度な心配は不要です。

痛みについて

  1. 検査中は軽い痛みや違和感を伴うことがありますが、経験豊富な医師が行うことで痛みは最小限に抑えられます
  2. 検査前には、痛みを軽減するために予防的に鎮痛薬を服用していただきます
  3. 卵管閉塞、子宮内膜症がある場合や、造影剤に敏感な方では、通常より強い痛みを感じることがあります

臨床的な意義

卵管の通過性を調べる方法はいくつかありますが、高い診断精度、簡便性、経済性、低侵襲性を兼ね備えた検査として、子宮卵管造影検査は現在でも女性の妊孕性評価に欠かせない検査の一つです。卵管を「七夕のかささぎ橋」に例えるなら、精子(彦星)と卵子(織姫)が出会う場所が卵管です。卵管が閉塞していると、精子と卵子が出会うことができず、妊娠は成立しません。

以下に、代表的な子宮卵管造影検査の画像をご紹介します。参考としてご覧ください。
 

正常な子宮・卵管 卵管近位部の閉塞 卵管遠位部の閉塞
子宮卵管造影検査で卵管近位部の閉塞が見られる画像 子宮卵管造影検査で卵管近位部の閉塞が見られる画像 子宮卵管造影検査で卵管近位部の閉塞が見られる画像
中隔子宮 子宮内腔癒着 子宮内膜ポリープ
子宮卵管造影検査で卵管近位部の閉塞が見られる画像 子宮卵管造影検査で卵管近位部の閉塞が見られる画像 子宮卵管造影検査で卵管近位部の閉塞が見られる画像

よくあるご質問(FAQ)


体外受精治療を予定していますが、この検査は受けなくてもよいですか?
一般的には、体外受精を予定している場合、子宮卵管造影検査は必ずしも必要な検査ではありません。しかし、一部の方では卵管閉塞に加えて卵管水腫を合併していることがあり、この場合は体外受精の妊娠率が低下することが知られています。その主な理由は次の2つです。
・卵管内の液体(卵管水腫液)が子宮内へ流れ込み、胚が流されてしまう可能性がある
・卵管水腫液が胚に悪影響を及ぼし、着床を妨げる可能性がある
 

卵管水腫と診断された場合は、どうすればよいですか?
一般的には、腹腔鏡手術による卵管切除または卵管結紮術が推奨されます。液体が子宮内へ流れ込み、胚の着床に悪影響を及ぼすのを防ぐことが目的です。
 

この検査はとても痛いと聞きました。受けなくてもよいですか? 
検査中に強い痛みを感じる方は少数です。痛みへの不安だけを理由に検査を受けないことは、お勧めできません。十分な検査を行わずに治療を開始すると、適切な治療方針を立てられず、治療効果が十分に得られない可能性があります。
 

痛みを感じやすいのは?
以下のような場合は、通常より痛みを感じやすいことがあります。
卵管閉塞がある、慢性骨盤内炎症性疾患がある、造影剤に対して過敏な方
 

検査後に抗菌薬や痛み止めを服用するのはなぜですか?
子宮卵管造影検査は侵襲的な検査であるため、感染のリスクがわずかながらあります。そのため、感染予防や検査後の痛みを軽減する目的で、抗菌薬や鎮痛薬を処方しています。
 

片側の卵管が途中で閉塞しており水腫はなく、もう片側は正常に通っている場合でも、追加の治療は必要ですか?
腹腔鏡手術を検討することをお勧めします。卵管が途中で閉塞している場合、卵管造影検査では卵管水腫が認められなくても、体外受精で排卵誘発を開始した後、採卵時にはじめて卵管水腫が確認されることがあります。その場合、胚移植を予定どおり行うか延期するかの判断が必要となることがあります

 
卵管の状態と妊娠率
閉塞の状況 片側の近位部が閉塞
もう片方は通過性良好
片側が水腫
もう片方は通過性良好
片側の途中部位が閉塞
もう片方は通過性良好
妊娠率 影響しない 低下 低下
腹腔鏡 必要なし 必要 推奨

*実際の治療は医師の診断のもと行っていきます。
本文は編集当時の治療状況、及びご提案です。